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「ドーモ、赤影=サン。ワタシはネヴァーダイズ…貴方の担当ウマ娘です」 両者はアイサツを交わすと、赤影は左の、ネヴァーダイズは右の拳を突き出して合わせ、互いに頷き合ったーー [ラン・フォー・フー]#2 完 16 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
その返事に少し、笑みをこぼす赤影。 彼は己の右手に装着した手袋を外す。その下にあったのは、鎧めいた青い義手である。 同時に風が吹きつけ、白き前髪で隠されていた左目を覆う眼帯が露わとなった。 「改めて、俺の名は赤影ーー君のトレーナーだ」 15 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「なら…決まりだな。二人で探そう。俺達が今ここに生きる意味を」 「…ええ」 「明日からのトレーニング、いけそうか?」 「…少しだけ、楽になりましたから」 そう語るネヴァーダイズの瞳には、少しばかりの光が灯っていた。 14 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「ワタシにはまだ、自分が何をするべきかなんてわからない」 「…そうか」 「でも」彼女は俯いていた顔を上げる。 「走り続けて…その意味を探したい。それが手向けになるのなら…尚更」 「…そうか」赤影は深く頷く。 13 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「二人で見つけるんだ。生きる意味を。生かされた意味を。それはきっと…空の彼方にいる者達への手向けになるはずだ…俺はそう思う。ネヴァー。君はどうだ?」 「ワタシは…」 ネヴァーダイズは少し考えこみ、そして言った。 12 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
赤影はそこまで言うと、深く目を閉じた。そして静かに開くとーーネヴァーダイズへと向き直り、 「だからこそ…俺は君と向き合っていたい。この痛みを…君一人に背負わせるわけにはいかない…いや、背負わせたくない」 そう告げた。 11 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「俺には過去がない。所謂記憶喪失ってやつだ。だが…家族を喪う痛みは、何故だか自分の事のように理解できる。きっと俺も…君と同じように奪われたことがあったんだと思う」 「トレーナー=サンも…?」 「ああ…まぁ、確証はないがな」 10 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
彼はおもむろに呟いた。 「何ですか」ネヴァーダイズが返す。 「ネヴァーの思い…俺にも何となくだが、わかる気がする」 「…?」ネヴァーダイズは訝しむ視線を送る。 9 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
聞いて、赤影は脳裏で彼女の話を噛み締める。彼には、何故か他人事のように思えなかった。 彼女が自身の担当ウマ娘だからというだけではない。 彼女の語る過去がーー己の中の何かを揺さぶって仕方がないのだ。 「…なぁ」 8 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「生かされたワタシはーー生き残ってしまったワタシはーー止まれない。止まってはいけない。夢を無くしても、走り続けなければならない。それがーー三人の命をもって、ワタシに与えられた使命なのだから」 そう語る目は、殺人マグロめいて冷たい。 7 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「センセイと出会って、トレセン学園に編入できることになってーーワタシは夢に一歩踏み出せました。けど…」 ネヴァーダイズの表情が陰る。 「家族も、センセイも殺された。ワタシの夢も、一緒に。ワタシに残っているのは、三人への思いだけ」 6 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
「ワタシは…何のために走ればいいかわからなくなったのです」 赤影は目を閉じ、思う。やはりかーーと。 「ワタシには、夢がありました。いつか大きなレースに出て、勝って、家族に安全な生活がさせたいという夢が」 5 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
ウマ娘ーーネヴァーダイズは風をその身に受けながら、遠くを見つめている。 人間ーー赤影もまた同様だ。 暫しの静寂が、場を包む。 そして一呼吸置きーーネヴァーダイズが言った。 「トレーナー=サン。ワタシは…」 4 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
そうして、二人は学園へと足を進めたーー ♦︎♦︎ それから1時間ほど後。トレセン学園屋上ーーのさらに上、蹄鉄めいたオブジェクトの先端。高く昇った満月が、二つの影を照らし出していた。 一人はウマ娘。もう一人は人間であった。 3 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
ついて尋ねようと考えていた。 「なぁーー」 彼が呟いた、その瞬間。 「トレーナー=サン」 被せるように、ネヴァーダイズが口を開いた。 「後で、話がしたいです。構いませんか?」 「あ、ああ」 予想外の言葉に口を詰まらせながらも、赤影は頷いた。 2 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
リサイクルショップを後にした赤影とネヴァーダイズの二人は、商店街をしばらく練り歩きーーいつしか空には月が昇っていた。 赤影は思う。 (そろそろ切り出さんとな) 彼はネヴァーダイズを連れ出した本来の目的ーートレーニングに身が入らぬ理由に 1 #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘
♦︎これまでのあらすじ♦︎ 師と家族を喪ったウマ娘、ネヴァーダイズ。彼女はトレセン学園への編入以来、抜け殻めいた日々を過ごしていた。そんな様子に気づいたトレーナー、赤影は彼女を商店街へと連れ出す。 暖かな人々に触れ、彼女は何を思うのか? #アイム・ア・ネヴァーダイズ #オリジナルウマ娘