全権を春に渡して惜しまれることなく眠る冬はいいひと　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

ズル休みの対価としての夕焼けがいよいよ俺を小さくさせる　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

月の名を未だ負はざる薄明かりアロサウルスの頭蓋は知るや　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

点Ｐが用紙の外の春風にさらわれるよう補助線を引け　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

木簡を読み解くひとの想像のつばさがぐんとひろがり飛鳥　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

うそばかりつくともだちのちゃんとした友だちだったおれはよかった　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

たった今交わしたはずの挨拶が躱されている死んだっけ俺　／袴田朱夏 （躱されて＝かわされて） #ShukaHakaTanka

かるがるとパンクを直す父の手がなにを愛して俺は生まれた　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

白球を捕らえそこねて分け入れば青、はつなつの蝶のふたひら　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

受精していないイクラをぼろぼろと赤い涙のようにどんぶり　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

休符もね、音符と同じくらい大事。だからしっかり休んできてね　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

さようなら、わたしよあなたの網膜にたくさん届け　手を振る振るる　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

じゃあ星に意味はあるかな先生はわたしの涼しさを生きていた　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

退職のあとのしじまに風船のゆっくりだけで世界をつくる　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

分断のための読点、決断のための句点を。離別の、手、紙。　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

正しくていいね踏切もうぼくは空気のふりできみを越えるよ　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

ポテサラは不可算名詞どうしても数えるんなら一生分だな　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

ポケットをすこし遅れてたたく子のビスケットも増えるよだいじょうぶ　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

そうめんの束をはらりと解くほどの覚悟で君にさよならしよう　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

スリングのプロモーションだったことだけ思い出されるプレパパ教室　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

ゆとり世代さとり世代の抱くとりが色とりどりの世界をうたう　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

上級になればなるほど魔法とはわからぬようにかけるのですよ　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

激怒したあと冷えてゆく教室にわれの落ち度が溶け残りおり　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

切っている別れ　愛しい横顔が今宵死と入れ替わる凍てつき　／袴田朱夏 （きつているわかれいとしいよこがおがこよいしといれかわるいてつき） #回文 #ShukaHakaTanka

ビニール傘のごみ分別が正しくてああこの人と結婚したい　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

苦しみの無人補う宵山や異様な祇園寺務のみ知る苦　／袴田朱夏 （くるしみのむじんおぎなうよいやまやいようなぎおんじむのみしるく） #回文 #COVID19 #ShukaHakaTanka

ホスピスに卒業はなく三月のあらたな風に入れ換わりゆく　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

夕焼けに色をあずけてコスモスは小さき聖堂と影になりたり　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

完治しないのがわかるってどんな気分？　右腕を上げたら下ろされた　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

月までの夜をゆくとき足音はふたりでつくる組曲になる　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

スキップの滞空時間延ばせたら死んだ君にも会える気がする　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

ぜんぶぜんぶどうでもいいよさようなら取り外したら乾かしといて　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

人になるまでの時間を折りたたみ端が合わないままこの帰郷　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

「戦争のための改憲に見えますがみんな平和のためなんです」「」　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

一度だけ叱ってくれた叔父の弾くストラディバリウス遺品となりぬ　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

読み解くと「朝」を揮毫に書いていて　如何に　動きをさあとくと見よ　／袴田朱夏 （よみとくとあさをきごうにかいていていかにうごきをさあとくとみよ） #回文 #ShukaHakaTanka

何飯と呼べばよいのかあたたかな自殺未遂のあとの塩粥　／袴田朱夏 #ShukaHakaTanka

いざ死なんかかる血しぶき乾かぬか若き武士散る果敢な死罪　／袴田朱夏 （いざしなんかかるちしぶきかわかぬかわかきぶしちるかかんなしざい） #回文 #ShukaHakaTanka

嘘、今のけだるいピアノ、地下、遺体、価値のアピールだけの埋葬　／袴田朱夏 （うそいまのけだるいぴあのちかいたいかちのあぴいるだけのまいそう） #回文 #ShukaHakaTanka