5年3月26日 踊り場の親子 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

「や、王様」 この犬ころは間抜けで失礼な奴なのだ。 王に向かって、気さくに挨拶しおって。 「お菓子貰ったんだ。一緒に食べようよ」 家族に裏切られ兵たちに裏切られ、ワシは全てを失った。 王冠も居場所も威厳も無くしたこんな老人を、この間抜けな犬ころは、王様などと。 #Xnovel

犬は棒に当たるから歩くのをやめた。 河童は流されるので陸に上がり、落ちてしまうから猿は木登りをやめた。 「あ」 何度も書き損じた空海は、筆を捨て、木に登って暮らす事にした。 猿は次々と川に飛び込み、河童はジョギングを始めて。 「わん」 犬は座って、筆をとった。 #Xnovel

嘘はジズネの山の奥にある。 誰が最初に言ったのか、誰も知らない言い伝え。 「どんな見た目で」 植物、木の実、魚、動物、人間。 「一体、何なのか」 山道を歩きながら、目にした全てを観察し、疑う。 同じようにふらふらと歩く人々を見た。 皆、不確かな存在を探し、それに縋っているのだ。 #Xnovel

5年3月25日 華やかな武器 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

「あの子を追って、ねえ」 右半分が蟋蟀の女性は残念そうに、楽しそうに笑った。 「あの子は此処でも死んだの。もっと下に落ちたわ」 躊躇いなくナイフを取り出す僕を見て、笑顔は濃く深くなっていく。 「……素敵な関係じゃない」 僕はまた、首筋に。　 #Xnovel

大きくて恐ろしい生き物たちが支配する国だと思っていた。 小さな生き物たちを奴隷にしているのだと。 「旅人サン、ニゲテ」 滞在四日目。 私にそっとそう言って来たのは、一際大きくて恐ろしい生き物だった。 「ハヤク」 怯えた瞳。 服の下に見えた痕。 この国は、本当は。 #Xnovel

『プロフ見て連絡した。こっちでえっちなエロいのやってるから送る』 絵文字まみれのＤＭ。 よくある迷惑な奴。 『特に下から二段目の文章に』 文末の言葉。 プロフに隠したモノに気付いた証。 「良かった。正義の味方は全滅してないんだ」 すぐにリンクを押す。 今こそ世界を取り戻すんだ。 #Xnovel

5年3月24日 井戸のある生活 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月23日 紫陽花のかくれんぼ #twnovel #140字小説 #140文字小説 #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

「モニョモジョ、ケロッパのモソ、ンレレレ。それとハンバーグです」 二十八個目の世界。 どう見ても料理に見えない物が並ぶ中に、安心するフォルムがあった。 茹で人参、ブロッコリー、ポテトも添えてある。 「また、ハンバーグが」 二十八個目の世界。 この異世界にも、何故かハンバーグ。 #Xnovel

ハンバーグにナイフを入れる。 緊張の瞬間。 いつも通り溢れ出る美味しそうな肉汁。 「逮捕」 老舗洋食屋さんの山内シェフまで捕まってしまった。 長年肉汁を閉じ込め続けてきた罪、監禁罪。 暴走する国から、ハンバーグ屋さんは姿を消した。 #Xnovel

5年3月22日 記憶にない湿度 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月21日 軽やかな風習 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

影を操る魔法は強力で、それを操る主様は先の大戦で様々な功績を上げていた。 「主様、今日の」 言いかけて、気付く。 「……お前でも間違えてしまうのか」 影を操る魔法は強力だが、大きな代償がある。 影はじわじわと術者を蝕み、やがて。 「そんな顔をするな」 仕方がないさ、と、主様は。 #Xnovel

空っぽの動物園。 空っぽの水族館。 空っぽの美術館。 どこもかしこも空っぽが当たり前になって、みんな何もない空間をただ眺めて。 「あ、ライオンが欠伸した」 とうとう彼にも、何かが見えてしまったらしい。 繋いだ手を離しても、彼はライオンのいた檻を見つめたままで。 #Xnovel

水族館には色とりどりのガラス片が展示されている。 大小様々な水槽に、沢山のガラス片。 青色のそれも赤色のあれも、全て嘗ては魚だったもので。 #Xnovel

水族館を掴んでひとかじり。 口に広がるのは楽しげな静寂だけで、期待した味なんて一切しなかった。 「次は遊園地を」 サーカスでも、良い。 #Xnovel

5年3月20日 駅ナカの海 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

二階の子供部屋の右の窓。 映るのは何故かいつも何処かの夜景。 遠くの国、あの日の夜、地球が見える事だってある。 #Xnovel

「夜闇でドレスを縫ってみました」 万年ジャージーズに所属している私。 無駄に器用過ぎる妹ちゃん。 「何故私のサイズで」 色とりどりの黒に、控え目に輝く星々。 「制作期間二ヶ月半」 カレンダーに勝手に書かれた婚活舞踏会の文字。 ……万年ジャージーズ、大ピンチだ。 #Xnovel

月の満ち欠けが彼の力に影響を与える。 満月なら無敵だけれど、月がない夜は。 「逃げて！私が時間を稼ぐから、貴方は」 最悪の夜に、押し寄せる敵。 この身を犠牲にしてでも彼を守るんだ。 「思春期に考えたその設定、マジで信じる奴いたんだ。恥ずかし」 彼のひと薙ぎで、壊滅する敵。 #Xnovel

浅い川底に数え切れない数のUFOが落ちていた。 川の流れで滑らかになった曲線。 大きな川魚に視線を移した直後、それらは綺麗な石ころになって。 #Xnovel

八年前に別れた彼女から、何故か突然潮干狩りに誘われた。 「……」 まともに話さないし、何故か誰もいない場所で二人きりだし。 「……」 ひたすらこっちをジッと見てるし、掘る度に何故かアダムスキー型UFOがザクザク出てくるし。 ひたすら視線、ひたすらアダムスキー。 #Xnovel

5年3月19日 装丁の恋 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月18日 小さく強かな光 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月17日 少年のウミガメの憂鬱 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

熊に遭遇しても死んだふりをしてはいけない。 熊はとても純粋で、疑う事を知らないからだ。 見知らぬ動物の死を嘆き、悲しみ、野花を供え手を合わせ、そして切ない気持ちを抱えたまま去っていく。 何度も死の瞬間に立ち会った熊は、悩み苦しみ死んでしまう事すらあるらしい。 #Xnovel

「とっても素敵な村ですね。少し、ゆっくりしていきたいと思います」 私が『くま』を知らないって答えたら、旅人さんはにっこり笑ってそう言った。 「ええ、是非」 彼女の茶色くて綺麗な体毛が、優しく流れる風に揺れた。 #Xnovel

想像力の風船をくくりつけられ、僕は飛行機から突き落とされた。 想像力をなくせば地面に真っ逆様。 想像力に呑まれれば宇宙まで飛んでいってしまう。 「適度な妄想と」 ふわりと上がっていく体。 「現実的な考え方と」 静かに落ちる体。 「これをいつまで」 途方に暮れながら景色を楽しむ。 #Xnovel

彼女と美代子さんが溶けていた。 こんな暑い日に、何故こんな場所に。 「何とか君は助けられたけど、美代子さんはもう」 友達が手遅れだったのに、彼女は嬉しそうに笑っていて。 「大丈夫、ちゃんと美代子は私の胸で生きているもの」 少しふくよかになった胸を撫で、彼女は。 #Xnovel

5年3月16日 「どこまでも行ける」 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月15日 塔の見える小さな部屋 #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

5年3月14日 知らない花の匂い #twnovel #140字小説 #140文字小説 #私の文章が好きそうな人にRTで届けてください #xnovel #創作 #ショートショート #小説 #マイクロノベル #web小説

「翼をください」 「はい、翼一対で２ポルクです」 飴玉以下の値段で売られる使い捨ての翼。 夢と幻想を抱いて進められた有翼人計画は、工場で量産される庶民の便利な移動手段として、現実に現れて。 #Xnovel

「中西さん」 僕はうっかり、夢の中の猫にそう呼びかけてしまった。 夢によく遊びに来る猫の正体、気付いてる事に気付かれたくなかったのに。 「にゃっ」 猫は短く鳴いてから、僕の腕から脱出して逃げていった。 「……」 その妙な走り方で気付いたんだよ。　 #Xnovel

空から降ってくる、もぐらもぐらもぐら。 僕の故郷を壊滅させた大災害。 「傘を展開してください！」 もぐら自体に害はない。 危険なのは、腹一杯に詰まったバレトの花の種だ。 「この国は守るよ、絶対」 爆発的に成長して生い茂るアレを、大地に触れさせる訳にはいかない。 #Xnovel

「ああ、この日の為に、僕らは紙ストローを」 夢の中で未来に飛べる能力を持つ弟。 確かにハッキリと、そんな寝言をこぼした癖に。 「……え、言ったかな。全然覚えてないんだけど」 今現在全く良い所がない紙ストロー。 どんな未来がやって来て、どんな活躍をしてくれるのだろう。 #Xnovel

「今夜はカレーよ」 朝、一人暮らしの部屋を出る時に誰かの声が聞こえる。 週に何度か、決まってカレー。 「ま、ただ声がするだけなんだけど」 今日もコンビニ飯を片手に帰宅。 敢えてカレーを避けるのが自分ルールで。 「え」 玄関の扉を開けた瞬間、漂うカレーの香り。 誰かの気配。 #Xnovel